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たこのすけ
駆け出し登山家
30歳から登山デビュー。いつか百名山の制覇を目指し奮闘中。

パノラマ銀座縦走:燕岳〜大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳

目次

はじめに

長年の夢であった「パノラマ銀座縦走」に挑戦してきました。北アルプスの雄大な山々を縦走し、絶景と自然の厳しさを全身で感じるこのコースは、多くの登山者の憧れです。今回は、UL(ウルトラライト)装備を取り入れ、より軽快に山を楽しむことを目指しました。この記事では、その3日間の詳細な記録と、UL装備の効果、そしてパノラマ銀座の魅力を余すところなくお伝えします。


登山計画:夢の「パノラマ銀座縦走」への挑戦

パノラマ銀座縦走とは、燕岳(標高2,763m)から大天井岳(標高2,922m)、常念岳(標高2,857m)、蝶ヶ岳(標高2,677m)へと続く、北アルプス屈指の縦走コースです。その名の通り、360度のパノラマが広がり、槍・穂高連峰をはじめとする名峰を間近に望むことができます。

今回の計画は、以下の3日間での踏破を目指しました。

  • 1日目:中房温泉から燕岳へ登り、燕山荘でテント泊
  • 2日目:大天井岳、常念岳を経て蝶ヶ岳ヒュッテでテント泊
  • 3日目:上高地へ下山

この計画を立てる際に重視したのは、「軽さ」と「柔軟性」です。天候や体調に応じて行程を調整できるよう、余裕を持ったスケジュールを組み、UL装備を導入することで行動範囲を広げることを狙いました。


UL(ウルトラライト)装備へのこだわり

UL(ウルトラライト)とは

UL登山とは、装備を可能な限り軽量化し、身体的な負担を減らすことで、より安全で快適な登山を実現するスタイルです。今回の縦走では、UL装備を取り入れることで、長い距離と標高差のあるコースでも疲労を最小限に抑えることを目指しました。

装備の軽量化により、歩行速度の向上や足腰への負担軽減が期待できます。また、余裕のある行動時間が確保できるため、天候の変化にも柔軟に対応可能です。さらに、体力に余裕が生まれることで、山での景色や動植物との出会いをより深く楽しむことができます。

以下に今回の山行でも利用した装備リストを紹介しています。興味がある方は是非とも参考にしてみてください。

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装備リストとその選択理由

今回のUL装備の主なアイテムと、その選択理由をご紹介します。

  • バックパック:容量40L、重量490gの軽量モデル。必要最低限の容量で、軽さを追求。
  • シェルター:ペグ込み重量250gのシングルウォールテント。設営・撤収が簡単で、強風にも耐えられるものを選択。
  • スリーピングマット:クローズドセルタイプを自身用にカットして重量130g。断熱性と快適性を両立。
  • シュラフ(寝袋):気温を確認して今回はビビィとインナーシーツで代用。
  • クッカー:今回の山行では水で調理できるアルファ米をメインにしたので携帯無し。
  • 食料:アルファ米セットと高カロリーの行動食。軽量でエネルギー効率の良いものを選択。

これらの装備により、ベースウェイト(食料・水・燃料を除いた重量)を3kg台に抑えることができました。


活動データ – YAMAP

活動記録 – YAMAP

パノラマ銀座縦走記:燕岳〜大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳 / たこのすけさんの燕岳大天井岳(長野県)常念岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

1日目:雷鳥との素敵な出会い

出発:トラブル続きのスタート

山行初日。天候を見極めるために特急「あずさ」の予約をギリギリまで控えていた結果、ほぼ満席という事態に。焦りつつもキャンセル待ちで席を確保し、穂高駅へ向かいました。この時点で少し疲労感がありましたが、UL装備のおかげで気持ちを切り替えることができました。

穂高駅から乗合バスで中房温泉へ。車窓から見える山々は雲に隠れ、少し不安を感じましたが、装備の軽さと機能性に自信を持ち、いよいよ登山開始です。

燕岳/燕山荘への登山口である中房温泉へのアクセスは以下の記事に整理しました。

特急あずさ、乗り合いバスで登山口へアクセスする方法を紹介しています。

登山開始:合戦小屋のスイカと燕岳の雷鳥

房温泉で準備を整え、いざ出発――と思いきや、ここで思わぬトラブルが発生。4年間愛用してきたトレッキングポールに不具合が発生したのです。ネジやバネが飛び散り、シェルター設営に不可欠なポールが機能しない! 一瞬焦りましたが、20分かけてなんとか修理を完了し、やっと一息つきました。

*中房温泉の登山口には水場があります。長時間の移動の後、コチラで補給するとよいですね。

気を取り直して再出発。UL装備の恩恵はすぐに感じられました。テント泊装備を背負っているにもかかわらず、足取りは軽く、息も上がりにくい。標高差約1,300mの登りもリズム良く進むことができました。

途中の合戦小屋では名物のスイカを堪能。思った以上に大きなスイカは、糖分と水分の補給に最適で、体力が回復しました。ULスタイルでは、こうした山小屋での補給を計画に組み込むことで、携行する食料を減らすことができます。

再び歩き始め、燕山荘に到着。テントを設営中に小雨が降り始めましたが、軽量なシェルターは設営も簡単で、雨に濡れる時間を最小限に抑えられました。

シェルター設営後、翌日の行程を考え、強風と横なぐり雨の中、燕岳の山頂を目指します。

そして、メガネ岩手前で念願の雷鳥に遭遇。2mほどの距離で見る雷鳥の姿は、まさに山の神秘そのもの。雨に濡れた羽毛が光を反射し、美しく輝いていました。UL装備で心身に余裕があったからこそ、この感動的な瞬間をじっくりと味わうことができました。

その後、山頂ではさらに6羽もの雷鳥に遭遇し、まるで自然が歓迎してくれているかのような素晴らしい1日目となりました。

テント泊:燕山荘での一夜

テントに戻り、夕食を準備。軽量なクッカーセットとフリーズドライ食品で、手早く暖かい食事を取ることができました。UL装備のシンプルさが、疲れた身体を労わります。

夜には雨が上がり、テント場からは安曇野市から松本市にかけての美しい夜景が広がりました。軽量な装備で身体に負担が少なかったため、心地よい疲労感とともに、星空を眺めながら眠りにつきました。

2日目:圧巻のパノラマ銀座

早朝出発:強風の中の縦走開始

3時半に起床。テントの結露はありましたが、UL装備の吸湿速乾性の高い素材のおかげで、撤収もスムーズ。軽量なシェルターは収納も簡単で、わずか15分で出発の準備が整いました。

外はまだ暗く、月や星が美しく輝いていました。強風が吹き荒れる中でも、UL装備の防風性と保温性が快適な行動を支えてくれます。ヘッドランプの明かりを頼りに、大天井岳を目指して出発。

大天井岳から常念岳へ:絶景と試練

日の出とともに、目の前には雄大なパノラマが広がりました。槍ヶ岳や穂高連峰が朝日に照らされ、その荘厳な姿に息を呑みます。UL装備で荷物が軽いため、立ち止まって写真を撮ったり、景色を楽しむ余裕がありました。

大天井岳の山頂では、目の前に迫る槍ヶ岳を眺めながら、次なる目標への意欲が湧いてきます。そこから常念岳への道は、アップダウンの連続。強風が体力を奪いますが、UL装備の軽さが疲労の軽減に大きく貢献しました。

常念小屋での休憩では、装備の軽量化による時間的な余裕を活かし、濡れたシェルターやウェアを乾かすことができました。ここでも山小屋での水分補給を活用し、携行する水の量を最適化。

常念岳への急登は、標高差約400mの試練でしたが、UL装備のおかげで脚への負担が少なく、一歩一歩確実に登ることができました。山頂からの360度のパノラマは、努力の報いとして最高のご褒美となりました。

蝶ヶ岳ヒュッテでの夜

常念岳から蝶ヶ岳への道は、体力的にも精神的にも厳しい区間でした。アップダウンの連続と強風が行く手を阻みます。しかし、UL装備の軽さと機能性が最後の力を引き出してくれました。

ようやく蝶ヶ岳ヒュッテのテント場に到着。強風の中でのテント設営も、軽量なシェルターとシンプルな構造のおかげでスムーズに完了。UL装備のメリットを再確認する瞬間でした。

夕食後、山頂へ向かい、常念岳で出会った登山者と再会。共に歩んだ道のりを振り返りながら、達成感を共有しました。夜には再び強風が吹き荒れましたが、UL装備のシェルターは風に強く、安心して眠ることができました。

3日目:森の朝焼けとともに

夜明け前の出発:暗闇と強風の中で

最終日、2時半に目覚めました。強風が吹き荒れる中でも、耳栓と快適な寝具のおかげでしっかりと睡眠を取れました。3時過ぎには出発の準備が整いましたが、風の強さに一瞬ためらいが。

そんな中、隣のご夫婦が手際よく撤収し、颯爽と出発する姿に刺激を受け、自分も決意。UL装備の簡便さが、強風下での撤収を助けてくれました。

ヘッドランプを点け、暗闇の中を下山開始。足元を照らしながら慎重に進みます。UL装備の軽さがバランスの維持に貢献し、急な下りも安全に降りることができました。

森の中の朝焼け:感動の瞬間

下山途中、森の中で迎えた朝焼けは、この旅最大のサプライズでした。東の空が徐々に赤く染まり、やがて木々の間から差し込む光が森全体を赤く照らしました。その幻想的な光景に、思わず立ち止まり、心が震えました。

UL装備で行動に余裕があったからこそ、この一瞬を見逃さずに済みました。自然が見せてくれる奇跡のような瞬間に立ち会えたことは、何よりの喜びです。

上高地への下山と新たな発見

徳沢に到着し、上高地バスターミナルを目指して歩き続けます。平坦な道が続き、UL装備の恩恵で疲労感も少なく、足取りは軽やかでした。

途中、明神を過ぎたところで梓川左岸道の通行止めに遭遇するという最後のトラブルがありましたが、柔軟に対応し無事に上高地へ。初めて訪れた上高地は、その美しさに心を奪われました。穂高連峰を背景に広がる梓川の清流、透き通る空気。UL装備で余裕があったため、立ち寄って景色を楽しむことができました。

バスターミナルでバスを待ちながら、今回の縦走を振り返りました。UL登山の効果を実感し、次回はさらに装備を見直してみようと思います。

反省点:次回に向けての改善

  • 交通機関の予約タイミング:天候を見極めるために予約を遅らせた結果、座席確保に苦労しました。仕事の合間に行く山行なので、バランスがなかなか難しいところではありますが、今後はキャンセル可能な予約を活用しつつ、早めに手配したいと思います。
  • 装備の事前チェック:トレッキングポールの不具合は事前に防げた可能性があります。UL装備はシンプルさが命なだけに、各パーツの点検を怠らないようにします。
  • 下山時の情報収集不足:通行止め情報を事前に確認していませんでした。最新の情報を入手するために、山小屋での情報収集や公式サイトのチェックを徹底します。
  • UL装備のさらなる最適化:今回のUL装備は効果的でしたが、実際に使ってみて改善点も見つかりました。次回はさらに装備を見直し、軽量化と快適性のバランスを追求したいと思います。

感想:3日間を振り返って

パノラマ銀座縦走は、自然の美しさと厳しさを全身で感じることができる、最高の舞台でした。UL装備の導入により、身体的な負担が減り、心に余裕が生まれたことで、より深く山を楽しむことができました。

特に、雷鳥との出会いや森の朝焼けなど、心に残る瞬間を多く体験できたのは、軽量化のおかげだと感じています。軽さは正義ではなく、軽さがもたらす余裕こそが、登山の楽しみを広げてくれるのだと実感しました。


おすすめUL装備リスト

UL登山に興味のある方のために、今回使用した装備とそのポイントをご紹介します。

  • バックパック
    • ポイント:容量は最低限に、フィット感の良いものを選ぶことで、長時間の行動でも疲れにくくなります。
    • おすすめモデルmont-bell: バーサライトパック 40
  • シェルター
    • ポイント:設営・撤収が簡単で、強風に耐えられるもの。シングルウォールテントは結露に注意が必要ですが、その軽さは魅力的です。
    • おすすめモデル:信州トレイルマウンテン: ストックシェルター2G
  • 寝具
    • ポイント:快適性と軽量化のバランスが重要。夏場限定になりますが、あえてシュラフをビビィ・ダウンジャケット/パンツにすることで対応しました。
    • おすすめモデル:SOL: エスケープライトビビィ【156g】、Naturehike: インナーシーツ【120g】
  • 食料・水分
    • ポイント:山小屋での補給を計画に組み込み、携行する量を最適化。高カロリーで軽量な行動食を選ぶことが重要です。
    • おすすめ:アルファ米、ブラックサンダー、柿ピーなど

このブログ記事が、UL登山やパノラマ銀座縦走に興味を持つ皆様の参考になれば幸いです。自然がもたらす感動と、ULスタイルの魅力を多くの方に共有できればと思います。

次回の山行でも、新たな発見と出会いを求めて、UL装備とともに山へ向かいたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

・都内在住の30代男性
・登山暦は5年未満
・日帰り〜2泊の山行がメイン
・目標は百名山踏破

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